特集Feature

学び・つながり・動く「場」
づくりから広がる“まちづくり”

東京スクエアガーデン6階に持続可能な都市・社会づくりを行うためのスペース「シティラボ東京」を設立しました。
「知見の提供」「コミュニティづくり」「ビジネス創出支援」を一貫して支援する Open Innovation Platform です。

環境課題の解決から社会課題の解決へ

東京スクエアガーデンは、2013年に竣工した地上24階地下4階の大規模オフィスビルです。東京駅からほど近く、京橋駅とは直結。環境配慮型ビルとして第三者から高い評価を受けるとともに、4階まで重なるように広がる緑地「京橋の丘」は、高さ約30m・面積約3,000m²にもなり、まとまった緑地が少ないこのエリアにおいて貴重な憩いの場となっています。6階には「京橋環境ステーション」を置き、地域全体における省CO2化を推進するため、環境情報の発信やコンサルティングなどを行ってきました。
社会で大規模オフィスビルにおける省エネや環境配慮が定着してきた一方、SDGsが示すように、気候変動だけでなく、災害への対策、超高齢化にともなうコミュニティの維持など、解決が求められる課題が山積しています。また、世界では急速な都市への人口集中が進んでおり、社会課題の多くは都市の課題と密接にからみあうものになってきました。都市の課題解決の方法を探ることは、これからの持続可能なまちづくりにつながり、SDGsの課題解決にも貢献することが期待されます。
東京建物はデベロッパーとしての観点から、"まちづくり"を通じて社会課題の解決に取り組むべく、「京橋環境ステーション」の一部を改装して新しい"場"をつくりました、それが「シティラボ東京」です。

東京スクエアガーデン

1階から4階まで重なる「京橋の丘」

「京橋環境ステーション」内の中央区環境情報センター

「シティラボ東京」が目指す都市課題の解決方法

「シティラボ東京」は、持続可能な都市・社会づくりを行うための Open Innovation Platform です。SDGsの17目標のうち、持続可能なまちづくりに関連する10目標を重点目標と位置づけています。
「知見の提供」「コミュニティづくり」「ビジネス創出支援」という3つの視点からプログラムを提供します。個人や企業、スタートアップがプログラムを通じて目的に応じた知見とコミュニティを獲得し、課題を抱える公共主体や資金を支援するベンチャーキャピタルなどとともにプロジェクト化・ビジネス化、さらには社会実装を通じてイノベーションを起こし、都市の課題解決に貢献することを目指しています。

SDGsにおける10の重点目標

「シティラボ東京」が提供する
3つのプログラムを通じた課題解決の概念図

知見の提供
「ラーニング・プログラム」

サステイナビリティに関連する社会的動向から、新たなテクノロジーまで幅広い最先端の知見・情報を提供し、参加者に新たな気づきを促します。

コミュニティづくり
「シェアリング・プログラム」

新たなシーズをもつスタートアップや、事業化のリソースをもつ大手企業、都市課題を抱える公共主体、知見を与える学術界、事業をサポートする金融機関やベンチャーキャピタルなど、多様な主体の参加によるコミュニティ形成と、集合知の形成を促します。

ビジネス創出支援
「マッチング・プログラム」

ビジネス化・プロジェクト化に適した事業者とのマッチング、さらに国・自治体などの公共主体との連携を通じて社会実装支援を行います。

次々とイベント・プログラムが開催されています

©nozomu ishikawa

「シティラボ東京」では、さまざまな主体によるイベントや定期プログラムが開催されています。2018年は特定非営利活動法人日本都市計画家協会(JSURP)による「まちづくりカレッジ」が全6コース(各5回)のプログラムで開催されました。開催予定のイベントや開催後のレポート、その他インタビュー記事などを「シティラボ東京」公式Webサイトまたは公式フェイスブックでお知らせしています。

木の香りで落ち着いた空気を醸し出す「シティラボ東京」

施設としての「シティラボ東京」は、約300m²のスペースにセミナー等が開催可能な会議室、ミーティングや個人ワークを想定したサロンとロングテーブルを備えた会員制レンタルスペースです。「都市の課題を解決する」という目的のもと、エリアの一般的な貸会議室よりリーズナブルな料金でご利用いただけます。
デスクやスツール、フローリング材、カーペットには国産間伐材や再利用材を利用。東日本大震災被災地支援プログラムから生まれた「石巻スツール」も採用しています。

会議室は100名までのセミナーやワークショップに対応。壁面はプロジェクターを投影しながら書き込みもできる全長約15mのホワイトボードウォール。会議室とサロンは可動間仕切りでフレキシブルに利用可能。

サロンには可動式タイプのデスクとソファテーブルを用意。自由なレイアウトで立ったままディスカッション・作業も可能。ケータリングを利用したネットワーキングパーティーもできます。

ロングテーブルで広々とした作業スペースを提供。サステイナビリティに関する書籍を集めた専門書ライブラリーは、新たな気づきのきっかけになることを期待しています。スペースには運営を担う一般社団法人アーバニストのスタッフが常駐。さまざまなご相談に対応します。

「シティラボ東京」のキーマンからのメッセージ

●MESSAGE 
多様な人々が参画し新しい都市の姿を導く場を

東京大学大学院 工学系研究科
都市工学専攻教授
一般社団法人 アーバニスト 代表
小泉 秀樹

国連では2050年までに約70%の人が都市に暮らすようになると予測しています。これまで人類が経験したことがない時代に入るにあたり、都市について考えることは一層重要になります。また、ICT※1やIoT※2、AI※3など、先端的な技術の普及が急激なスピードで社会を変えつつある。それにより、目指すべき具体的な都市や町、地域もしくは社会の理想像が見えにくくなっています。だからこそ、新しい都市や地域、そこでのコミュニティや社会のあり方の探求が求められているのです。都市計画やまちづくりの専門家だけでなく、経済や金融、先端技術のIoT、AI、高齢化対策など、他領域との接点が非常に重要です。そして、答えはすぐに出てくるのではなく、異なる立場の人たちとディスカッションを重ね見えてくるものだと思います。そのようにイノベーティブに新しい都市のあり方を考えていくための場づくりが「シティラボ東京」です。
オープンイノベーションは必ずしも簡単には進みません。真のオープンイノベーションは、新しい課題やこれまでにない価値観を取り込みながら0を1にするような作業です。そこで「シティラボ東京」ではイノベーションを促すプログラムを用意しています。集う人たちはこれらを足掛かりにしていただきたい。
どのようにイノベーションを生み出すのか、「シティラボ東京」がどういった役割を担っていくのかは、トライアルの繰り返しにより明確になっていくと思います。コミュニティが生まれやすい環境、場づくりが「シティラボ東京」の役割です。

  • ※1
    ICT:Information and Communication Technology、情報通信技術
  • ※2
    IoT:Internet of Things、モノのインターネット
  • ※3
    AI:Artificial Intelligence、人工知能

●MESSAGE 
ネットワークからインパクトのあるイノベーションを

東京建物 ビル事業企画部
シティラボ東京 プロジェクト・マネージャー
冨谷 正明

私はこのプロジェクトの立ち上げから参加してきました。構想段階から今でも一貫してこだわっているのは「ネットワークを広げること」です。苦労もありますが、これまでとは全く業界が異なる組織や人とのつながりを構築できるというのは非常に新鮮な経験です。同時にそのつながりの必要性も痛感しています。オープンイノベーションという言葉が当たり前となっているように、これからの時代は、より広く外に出て事業に幅と厚みを持たせることが求められてきます。この「シティラボ東京」は、これまで東京建物グループが行ってきた緑や環境をテーマにしたプロジェクトから、一歩先を見据えた社会課題をベースにした新たな取組みです。今後は引き続きネットワークの幅を広げていくとともに、インパクトのあるイノベーションを起こしていけるよう、企画面での充実も図っていきます。

●MESSAGE 
イノベーションにつながる架け橋となる

東京建物 ビル事業企画部
シティラボ東京 プロジェクト・ディレクター
藤井 顕司

私は京橋環境ステーションの運営に最初から関わってきました。竣工から6年が経ち、急速に社会課題解決へのニーズが高まり、環境問題解決のためには「経済」や「社会」も意識しなければいけない時代になりました。地域は解決策を求め、一方でアイデアを持つスタートアップや社会課題をマーケットとして見る大手企業もおり、それらの架け橋になれれば新たな事業が生まれるのではないか。そんな思いを形にしたのがこのプロジェクトです。私たちの役割は"場"の提供だけでなく、これまで京橋環境ステーションを通じて築いてきたネットワークを生かし、地域の人や大学、企業、スタートアップなど、さまざまなつながりを生むための機会を創出し、価値あるイベントやプロジェクトを仕掛けていくことです。事業へとつなげ、新たなイノベーションが生まれる瞬間に私も立ち会いたいです。